インスリン療法とは ― 正しい理解と誤解の解消
- RAJA Inc. 株式会社ラジャ

- 10月17日
- 読了時間: 3分
「インスリン」と聞くと、「注射は最後の手段」「一度始めたら一生続けないといけない」そんなイメージをお持ちの方も少なくないかもしれません。でも、実際のインスリン療法は、もっと柔軟で、前向きな治療選択肢のひとつです。
インスリン注射は“最後の手段”ではありません
以前は「インスリン=重症」と考えられていた時期もありましたが、現在では早い段階からのインスリン療法が有効とされるケースも増えています。
たとえば、血糖値が非常に高いとき、一時的にインスリンで膵臓(インスリンを出す細胞)を休ませることで、自分のインスリン分泌機能が回復することがあります。これは「糖毒性の解除」とも呼ばれ、将来的に薬を減らすための戦略的導入にもなり得ます。
「一生やめられない」は誤解です
インスリンを一度始めたら一生打ち続けなければいけない。
これはすべての人に当てはまるわけではありません。
自分の膵臓がまだある程度インスリンを分泌できる場合は、一時的に使用した後、経口薬へ戻すことも可能です。継続が必要かどうかは、体の状態や血糖の安定度、合併症の有無などを見ながら判断されます。
インスリンの役割と働き
インスリンは、膵臓の「β細胞(ベータ細胞)」から分泌されます。その主な役割は、血液中のブドウ糖を体の細胞に取り込ませ、エネルギーとして利用できるようにすることです。
また、ブドウ糖を肝臓や筋肉に「グリコーゲン」として蓄える働きも担っています。このため、インスリンは“血糖を下げる薬”というより、“体に必要なものを使えるようにするホルモン”と考えると、より自然かもしれません。
注射の種類:基礎インスリンと追加インスリン
インスリン療法には、いくつかの種類があります。
基礎インスリン(持効型):1日1回の注射で、24時間ほど持続的に作用します
追加インスリン(超速効型):食事のときに注射し、血糖の上昇を抑えます
この2つを組み合わせることで、健康な人に近いインスリン分泌のリズムを再現することが目標になります。
痛みや手間への不安も軽くなっています
「注射は痛そう」「毎日続けられるか不安」――そんな声も多く聞かれます。ですが、最近のインスリン注射は針が非常に細く、痛みもほとんどないという方が多くなっています。
注射器には、使い切りタイプの「プレフィルドタイプ」と、薬液を交換して繰り返し使う「カートリッジタイプ」があり、コストや使いやすさなどに応じて選べます。生活スタイルや希望に合わせて、続けやすい形で導入できるのも、今のインスリン療法の強みです。


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