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糖尿病と運動
筋肉は“環境への適応”として生まれる

血糖を安定させるためには、食事と同じくらい運動も大切です。
とくに「筋肉を育てること」は、ブドウ糖の代謝やインスリンの働きを助け、血糖コントロールに役立ちます。

運動によって筋肉が刺激されると、血糖を取り込む力が高まり、糖尿病の改善にもつながります。
無理のない範囲で、体を動かす習慣を少しずつ取り入れていきましょう。

筋肉は、使うことで性質が変わる“反応型の臓器”です。

● 筋肉は“必要な環境”に応じて育つ

筋肉は、ただ動かせばつくというものではありません。脳が「今の生活には筋肉が必要だ」と判断したときに、はじめて育っていきます。

  • 高負荷トレーニングに慣れたボディビルダーは、大きく力強い筋肉を。

  • 長距離走に適応したマラソンランナーは、軽くて持久力のある筋肉を。

このように、筋肉は「どんな刺激を受けているか」に応じて姿を変えていきます。

 

● 糖尿病と筋肉の関係

糖尿病の治療において、筋肉はとても心強い味方です。

  • 筋肉は、ブドウ糖を取り込んで燃やす“最大の器官”です。

  • インスリンが効く主な場所でもあり、筋肉量が多いほど血糖が安定しやすくなります。

  • さらに、運動そのものにインスリン抵抗性を改善する効果もあります。

● 筋肉を育てるための3つの視点

  1. 「少しきつい」と感じる運動をする
     例:スクワット、階段昇降、ゆっくりとした自重トレーニング

  2. 今よりも「ちょっと強めの刺激」を意識
     慣れた運動だけでは筋肉は増えづらいため、負荷や回数に少し変化を加える工夫が大切です。

  3. 「継続」がなによりの刺激
     脳に「筋肉は必要」と思わせ続けるには、毎日の積み重ねが大事です。

●  どれくらい運動すればいい?

日本糖尿病学会やアメリカ糖尿病学会(ADA)では、以下のような運動を推奨しています:

  • 週150分程度の中強度の有酸素運動(例:早歩き、サイクリング、軽い登山など)

  • 週2~3回の筋力トレーニング(自重でもOK)

このような運動は、血糖の安定だけでなく、脂肪肝の予防や筋力低下の防止にも役立ちます。

● 特別な道具がなくても大丈夫

忙しい日常の中でも、次のような工夫で運動を生活に取り入れられます:

  • 自宅でできるスクワットやゆっくりした腹筋運動

  • 通勤や買い物のときに階段を使う

  • ウォーキングにストレッチや軽い筋トレをプラス

運動は「量」よりも「続けやすさ」が大切です。

まとめ

筋肉は、「使う理由」があるときに育つ臓器です。
糖尿病の治療では、筋肉を育てることが“薬に頼りすぎない体”をつくる近道になります。

完璧を目指さなくても大丈夫。できることから、少しずつ。
今日の1回の運動が、未来の血糖値や生活の質を変えていきます。

※糖尿病性網膜症のある方は、激しい運動が眼に負担をかけることがあります。運動を始める前に、眼科での診察を受け、どの程度の運動が安全かを医師とよく相談することが大切です。

千葉駅前クリニック

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